配信方法はオンデマンドとなり、質疑応答を会期中にZoomを用いて行う予定です。
ユニバーサルデザイン英語教育:知ることで気付き、気付くことで始まる手立て
Universal Design TESOL: How to Reach Your Struggling Learners
【講演概要】
皆さまご存知の通り、日本語は英語に比べて読み書きの難しさが顕出しにくい言語であると言われています。小学校低学年でのことばの学習を終え、中学年からローマ字学習と英語活動が始まり、高学年からはアルファベット文字を扱う機会がさらに増えます。それまでの日本語の学習では、文字の読み書きに難しさがあると気付かないまま過ごしてきて、音声言語から文字言語への学習へ移行する瞬間、一気に奈落の底に落とされてしまう気持ちに襲われえる学習者は、決して少なくありません。もし、英語学習が始まる前に、学習者の持つ様々な特性に本人や周囲が気付くことができていれば、この状況を少しでも変えることができるものと期待されます。今回、英語学習に難しさを感じる学習者の認知傾向や言語学習適性能力についてのこれまで行ってきた研究結果を改めて考察し、今の英語教育に求められることについて、皆さまと共有できればと願っております。
【略歴等】
群馬大学大学教育・学生支援機構大学教育センター准教授。県立高校での英語科教員、国立高等専門学校機構教授を経て現職。英国バーミンガム大学修士(TESOL)。大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程単位満期取得退学。
県立高校勤務時代は、“いけいけのスパルタ式”進学指導に邁進しておりました。高専へ異動後、英語教員の傍ら学生相談室長を兼務した際、実験レポートが書けず必修単位が修得できず退学する学生の後姿を見て何もできない自分をもどかしく感じ、発達障害や学習障害の勉強を始めました。その後、英語を苦手とする学生がどこに躓き、どのような手立てをすれば学びが前向きになるのかを考えることにつながり、私の研究テーマとなりました。「学ぶ場所から学ぶことが原因で遠のいてしまうことを防ぐ」ことが今、我々教育関係者が取り組むべきことではないでしょうか。皆さまのご研究内容も多様な学び方を持つ学習者にとってすぐに役に立つものでばかりです。今日は皆さまと情報を共有し、多様な学びの保障につながればと願っております。何卒宜しくお願い致します。
【主な著書等】
『学習障がいのある児童・生徒のための外国語教育』(翻訳)明石書店
The Second Language Learning Processes of Students with Specific Learning Difficulties(翻訳中2020年11月刊行予定)明石書店
『はじめて英語を学ぶ子のためのユニバーサルデザイン教材のアイデア100』
(執筆中2020年3月刊行予定)明治図書
『読み書きに困難のある児童・生徒のための英語学習支援』「英語教育」連載2019年4月号~2020年3月号 大修館書店