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8月7日(火)
講演
「日本人英語学習者のL2発信技能:学習者コーパスに基づくアジア圏国際比較の視点から」
石川慎一郎(神戸大学)
【講演概要】
L2習得に関して4技能の均衡的発達が重要であることは言を俟たないが,日本人の英語力については,発信技能(話す・書く)の著しい欠如が繰り返し指摘されている。しかし,ここで注目すべきは,「日本人は英語が書けない/話せない」といったわかりやすい言説が飛び交う一方で,日本人の英語産出の何が問題なのか,それはどの程度のものなのか,また,そうした問題は日本人に固有のものなのか,習熟度の上昇の中で解消されないのか,といった基本的な事実が必ずしも明らかになっていないことである。本講演では,アジア圏国際英語学習者コーパスICNALEの解析から見えてきた新たな事実を紹介し,問題の特定と今後の対応の方向性について考えたい。
シンポジウム
「大学入試改革:中等・高等教育の立場から」
山田泰造(文部科学省高等教育局大学振興課大学入試室)
田中十督(西南学院中高)
竹内理(関西大学)
【全体の概要】
2020年度から,現行の「大学センター試験」に代わり「大学入試共通テスト」が導入される。また,英語についてはさらに民間の試験の導入が検討されるなど,大学入試を取り巻く環境がとても大きく変わろうとしている。しかし,入試というのはただ受験者を選抜するだけではなく,初等・中等・高等教育へたいへん大きな影響を及ぼす。本シンポジウムでは,まず,山田氏に実際の制度設計にかかわられている立場から,現在進められてようとしている変更の趣旨・意義などをご説明いただき,つぎに,中等教育の立場から田中氏,高等教育の立場から竹内氏に,大学入試にどのようなことが求められているかをお話しいただく。このシンポジウムが,われわれ外国語教育に携わるものが立場を超えて,外国語学習者のための大学入試の役割について考える機会になればと考えている。
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8月8日(水)
講演
「センター試験「英語」を偲ぶ:統計的性質を中心に」
荘島宏二郎(独立行政法人 大学入試センター)
【講演概要】
1990年に第1回「大学入試センター試験」が実施されて以来、約40年が経った。センター試験は、再来年2020年1月に第41回目が実施されて幕を閉じ、2021年1月には第1回目の「大学入学共通テスト」が実施されることが決まっている。本講演は、終わりゆくセンター試験「英語(筆記)」と「リスニング」に焦点を当て、統計分析を通じて、両テストが「誰のための」「どのような」テストであったかについて示す。
講演
” Sustainability of EFL teaching: EFL教育の持続可能性”
Judy Noguchi(神戸学院大学名誉教授)
【講演概要】
Advancements in AI (artificial intelligence) herald a new age for machine translation with even translation apps for smartphones. In the face of such developments, how can ELF teaching remain relevant in tertiary education for the digital-native Generation Z students that we are teaching today? Focusing on the fine points of grammar or insisting on translation in order to understand a text is not realistic as the world welcomes various forms of ELF (English as a lingua franca). Does this mean that we need to shift to CLIL (Content and Language Integrated Learning) or EMI (English Medium Instruction)? If so, we need to recognize what we might be sacrificing by embracing the concepts of education represented by these approaches. One recent development to note is the announcement of new CEFR (Common European Framework of Reference for Languages) descriptors, which have shifted from the traditional four skills to emphasizing communication by targeting the four areas of reception, production, interaction and mediation. Placing the emphasis on communicative language competence is the key to what EFL teaching can offer in tertiary education without stamping out diversity of learning styles. Concepts of discourse communities that share information and construct knowledge through genres, or communication events, will be presented as ways to offer relevant and sustainable EFL teaching for Generation Z students who must face the unknown challenges of the 21st century.
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8月9日(木)
パネルディスカッション
「大学入試改革は、高校英語教育での四技能統合を推進するのか?」
コーディネーター
柳瀬陽介(広島大学)
【全体の概要】
このシンポジウムでは、現在提唱されている大学入試改革の妥当性を検討する。亘理は、授業研究の立場から、高校英語教育の「四技能統合」の現状について考察する。松井は、教室の現実を踏まえた上で大学入試改革が教室の現実をとらえきれていないことを指摘する。寺沢は、こういった改革が生じる政治経済的背景をマクロ的な観点から分析する。柳瀬は、標準テストが前提としている一次元尺度性と意味のあり方について論じる。現場観察に基づいた立論と、メタ的な理論的考察により、分析的で率直な議論を行う。
パネリスト
寺沢拓敬(関西学院大学)
【概要】
近年の一連の英語教育政策をマクロな観点から総括し、改革を駆動する政治経済的要因について論じる。具体的には、英語教育改革の背後にある「言葉」の働きに焦点を当てる。とくにグローバル化を語る言説、そして新自由主義的な言説をとりあげ、こうした言説によって増幅されたイメージが、いかに改革を(不当に)促進しているか、そして、こうした言葉に英語教育者・外国語教育学がいかに縛られているかを論じる。
松井孝志(山口県鴻城高等学校)
【概要】
高大接続で英語だけ「外部試験」の利用・活用が政策として進められている。高校生で、大学入試で英語を必要とする者はその半数程度であり、その他の者には現行の「センター試験」さえ無関係である現状で「入試を変えれば高校英語が変わる」とでもいうような政策は暴力的でさえある。また、四技能試験を推進する根拠として使われていた数万人にも及ぶ高校3年生を対象とした「フィージビリティ調査」の出題内容はメディアでは殆ど報道されずに結果だけが取り上げられ今日に至っている。教室の現実を踏まえた議論を仕掛けたい。
亘理陽一(静岡大学)
【概要】
教員養成課程に携わる者として、授業研究の立場から、現状の高校英語教育の課題を素描する。具体的には、現在かかわっている事業での授業観察・協議、質問紙調査結果、英語運用能力のデータをもとに、(1)表面的な訓練主義・詰め込み主義台頭の懸念を指摘し、(2)パフォーマンス評価と指導の現状から見た「4技能統合」の妥当性、および(3)外国語科で身につけることが目指される思考力・表現力・判断力とは何かを考察(教科目的論を再考)する。