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No. 22 支部企画:九州・沖縄支部 (2009年08月10日)

カテゴリー: General
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★支部企画コーナー No. 22 九州・沖縄支部
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☆支部研究プロジェクト紹介第3弾
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研究テーマ: 「交流型学習におけるライティング指導法の研究」
研究代表者: 荒木 瑞夫 (宮崎県立看護大学)

「交流型学習におけるライティング指導法の研究」というテーマで、2006年度~2007年度の外国語教育メディア(LET)九州・沖繩支部研究プロジェクトの助成を受けた。共同研究チームは、白坂佳代、エリック・ラーソン(ともに宮崎県立看護大学)、横山彰三(宮崎大学)、安浪誠祐(熊本大学)、および荒木である。ここ20年余りにわたりパソコンなどの機器や情報ネットワークの急速な発達と、Lave & Wenger ら(1991)のような学びのコンテクストも学習を形作る本質的部分と見なす学習観の成熟化に伴い、インターネットを介した国際交流を通した言語学習の実践は広く行なわれている。しかし、その種の実践の効果の立証は一般化しにくく、定見を生みだすにはデータの蓄積が必要だと思われる。そこで私たちは、Moodleの掲示板をベースにした看護大学生の国際ライティング交流における学習者言語の測定を行い、4ヶ月弱という短期間ではあるが、その間の発達を観察することにした。

参加者は県立の看護大学生95名。秋の必修英語科目で、海外の看護大学生65名(スペイン、韓国、タイ、中国の7大学から参加)と掲示板上で、文化や健康に関するトピックでライティング交流を行なった。日本側参加者は期間中2,500語以上を書くことを課し、授業での一斉指導は内容面に関することが中心で、言語指導は机間巡視で随時介入したり質問に応じたりする個別対応を原則とした。

事前と事後で2つの分析を行なった。一つは、(i)流暢さに関するテスト(Ishikawa 1995を参考に作成した自由英作文の語数を基にしたテスト)の平均スコアの推移の検証で、もう一つは(ii) (i)で得られた学習者言語のサンプルの誤用分析である。結果、(i)では平均スコアが16.30から22.43に上昇した(n=95, t=-4.28, p<0.001)。また、(ii)では、複数の文法項目に関し改善が見られ、その中で、数少ない一斉指導でとり上げた項目も含まれていた。

結果より、交流型ライティング活動を通して学習者が物事についてより書くようになり、また一部の文法項目の正確さも向上すると結論付けた。その一方、授業での明示的一斉指導とのブレンディングの可能性という新たな研究課題を得た。

研究の報告を『LET Kyushu-Okinawa BULLETIN』第9号(pp.1-15)で行なった。九州・沖縄支部の関係者の方々には大変お世話になりました。他支部の会員の皆様にも上記文献をご高覧頂けましたら幸いに存じます。今後ともよろしくお願いします。

報告: 荒木 瑞夫 (宮崎県立看護大学)

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