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No. 11 渡辺 智恵(関西支部) (2005年11月10日)

カテゴリー: General
広島市立大学の渡辺智恵です。ネットワーク型集中英語学習プログラムの開発を
始めてから9年になります。


広島市立大学の渡辺智恵です。ネットワーク型集中英語学習プログラムの開発を
始めてから9年になります。

このプログラムは、平成14年度から広島市立大学
の正規英語科目としても実施されており、学生は学内の端末からプログラムにア
クセスして学習を行っています。ところが、今年後期の授業開始とともに、「自
宅からのアクセスも認めてほしい」という学生からの要望が相次ぐようになりま
した。とりあえず、後期については自宅アクセスを認めないことにしましたが、
今後このような要望は増えるものと思われ、どうすべきか苦慮しているところで
す。

まずは公平・不公平の問題があります。自宅にブロードバンド接続ができるパソ
コンを所有している学生は増えているとは思いますが、まだ全員というわけでは
ありません。「持てる」学生が有利になり、「持たざる」学生が不利になるとい
う不公平につながらないかという点が懸念されます。

また、自宅アクセスを認めることで、アクセス率や教材消化率が落ちるなど、学
習に悪い影響が出るのではないかという懸念もあります。実は一昨年、この学習
プログラムについて自宅アクセスの実験を行いました。対象は大学生ではなく、
社会人だったのですが、受講期間中、1週間の学習時間を一定の時間に制限した
グループと何の制限もなく自由にアクセスを認めたグループを比較したところ、
前者のアクセス率と教材消化率は、後者に比べて10%以上も高く、統計的にも有
意差がありました。eラーニング最大のメリットは、「いつでも自分の好きなと
きに学習できる」という点にありますが、「いつでもできる」ということは、学
習の先延ばしにつながり、結局は「やらなかった」という結果になりかねないと
いうことが分かりました。もちろん、この結果をすぐに大学生に当てはめること
はできませんが、自宅アクセスを認めるのであれば、学習の先延ばしを防ぐため
の何らかの対策が必要と感じています。

さて、リレートークのバトンは、立命館大学経済学部の野澤健先生にお渡ししま
す。野澤先生は私の大学時代の同輩であり、ネットワークを利用した英語教育の
積極的な推進者でもいらっしゃいます。野澤先生、よろしくお願いいたします。

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